旧暦を読むには六十干支という概念の理解が必要です。六十干支とは一言でいうと、干支(かんしと呼びますが、これについては後述します)が60個集まり、干支の一つ一つがいまのカレンダーの数字を表しているようなものです。1からはじまり60で一つのサイクルが終わります。ちなみに、いまのグレゴリオ暦のカレンダーは30もしくは31で一つのサイクルが終わります。


旧暦はこの六十干支で書かれています。旧暦は漢字なので、はじめての人にはパッと見では分かりにくいと思います。下の表が六十干支の全ての干支を表しています。1.甲子からはじまり60.癸亥で終わります。そして一巡すると、また甲子からはじまり、このサイクルを永遠と繰り返します。余談ですが、60歳の還暦という言葉は実はここからきています。まさしく暦がまた還るという意味ですね。また社会で習ったことでお馴染みの戊辰戦争や壬申の乱など、戊辰は5、壬申は9を表し、旧暦で示していることが分かります。ほかにも甲子園も1.甲子から取っていたり、案外、旧暦の名残がまだまだ残っています。
六十干支表 | |||||||||
1. 甲子(きのえね) | 2. 乙丑(きのとうし) | 3. 丙寅(ひのえとら) | 4. 丁卯(ひのとう) | 5. 戊辰(つちのえたつ | 6. 己巳(つちのとみ) | 7. 庚午(かのえうま) | 8. 辛未(かのとひつじ) | 9. 壬申(みずのえさる) | 10. 癸酉(みずのととり) |
11. 甲戌(きのえいぬ) | 12. 乙亥(きのとい) | 13. 丙子(ひのえね) | 14. 丁丑(ひのとうし) | 15. 戊寅(つちのえとら) | 16. 己卯(つちのとう) | 17. 庚辰(かのえたつ) | 18. 辛巳(かのとみ) | 19. 壬午(みずのえうま) | 20. 癸未(みずのとひつじ) |
21. 甲申(きのえさる) | 22. 乙酉(きのととり) | 23. 丙戌(ひのえいぬ) | 24. 丁亥(ひのとい) | 25. 戊子(つちのえね) | 26. 己丑(つちのとうし) | 27. 庚寅(かのえとら) | 28. 辛卯(かのとう) | 29. 壬辰(みずのえたつ) | 30. 癸巳(みずのとみ) |
31. 甲午(きのえうま) | 32. 乙未(きのとひつじ) | 33. 丙申(ひのえさる) | 34. 丁酉(ひのととり) | 35. 戊戌(つちのえいぬ) | 36. 己亥(つちのとい) | 37. 庚子(かのえね) | 38. 辛丑(かのとうし) | 39. 壬寅(みずのえとら) | 40. 癸卯(みずのとう) |
41. 甲辰(きのえたつ) | 42. 乙巳(きのとみ) | 43. 丙午 (ひのえうま) | 44. 丁未 (ひのとひつじ) | 45. 戊申 (つちのえさる) | 46. 己酉 (つちのととり) | 47. 庚戌 (かのえいぬ) | 48. 辛亥 (かのとい) | 49. 壬子 (みずのえね) | 50. 癸丑 (みずのとうし) |
51. 甲寅 (きのえとら) | 52. 乙卯 (きのとう) | 53. 丙辰 (ひのえたつ) | 54. 丁巳 (ひのとみ) | 55. 戊午 (つちのえうま) | 56. 己未 (つちのとひつじ) | 57. 庚申 (かのえさる) | 58. 辛酉 (かのととり) | 59. 壬戌 (みずのえいぬ) | 60. 癸亥 (みずのとい) |
六十干支とは(The Gan-Zhi Sexagenary Cycle)
旧暦は我々がいつも使う10進法とは違い60進法をベースにしています。60進法は60までくるとまた1に戻るサイクルですが、なぜ60かというと、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)の干支の組み合わせから出来ているからです。十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10パターン、十二支は子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12パターンです。なお、干支とはこの十(干)と十二(支)を文字取ったもので、それぞれ十干、十二支を指します。旧暦の六十干支のパターンは、干なら甲、支なら子とそれぞれを組み合わせて実現します。癸、亥までくるとまた最初の甲子まで戻る仕組みです。この干支の組み合わせの全パターンが60なのです。ただし、10と12の組み合わせでは必ず2つ組み合わさらないパターンが出てきます。例えば、子と丑が組み合わせらないのは、甲寅、壬戌など、申と酉が組み合わさらないのは、甲戌、癸未などです。これら組み合わせがないパターンは全部で6パターンあり、四柱推命では空亡と呼ばれます。一度は聞いたことがある天中殺、大殺界などの用語は呼び名なが変わっただけでこの空亡のことを指しています。空亡についてはページを改めて詳細に書きたいと思います。
そもそも、なぜこのような仕組みなのか? それは古代中国の甲骨文字にその仕組が記されており、中国の暦で採用されたのがはじまりとされています。
60パターンの不思議
十干と十二支の組み合わせから60パターンになる話をしましたが、個人的に同じ60で共通しているものとして60秒、60分の時間単位があります。当たり前のように使っていますが、この60進法の単位がもともとどこから来たのか意識している人は少ないのではないでしょうか。私自身も旧暦など調べるときまで疑問などありませんでした。
実際に調べると、はるか昔に栄えたシュメール文明の痕跡ではないかという説があります。シュメール文明は、紀元前9,000年頃から突如表れた世界最古の文明と言われ、自身を「混ざり合わされた者」と呼び、「アヌンナキ」という神々の集団によって創られたと信じていたそうです。シュメール文明は、天体観測や測量に60進法をすでに使っていた痕跡があり、興味深いことにその60進法の記述は、古代中国の甲骨文字と良く似ているように感じました。もしかするとルーツは同じだったのかもしれません。シュメールがなぜ60進法を使い始めたか、そのことについては依然 謎のままですが、アヌンナキという神々の集団によって創られたシュメールなら、もしかすると人智を超えたところからきたのかもしれません。
